カテゴリ:Jazz Drumming( 10 )


2008年 12月 04日

敷居の高いところ

他ジャンルから見てJazzの敷居が高いと感じるところ。

例えばコピーやカヴァー主体のロック系なアマチュアバンドならオリジナルの再現をひとつの目標というか正解として捉えて進むことができるからわかりやすい。「間違った!」と思ったらそれは恐らくほぼ全員が「間違い」だと認識できる。

Jazzのカテゴリでもフルバンドには譜面もあるが、コンボではオリジナルの再現や譜面の再現を目指しても正直何の面白味も無いし、Jazzの精神として単なるコピーや譜面にベッタリというのはそれはもはやJazzと呼ぶべきではない。

結果的であれ何であれプレイヤーが出した音が全てであって、明らかな「技術的ミス」や「勘違い」を除けば「カッコ悪い」とか「理論的にはあまり好ましくないね」とか「好みじゃない」というのはあっても、それは「間違い」とは言わない。あくまでも個人個人の「正解」を近づける作業でしかないので、「オリジナルと同じように出来た!」というような達成感とか満足感も得られない。

これこそがジャズの敷居を高くしている要因でもあるし、多くのジャズ入門者が本当の意味でジャズを理解出来ないまま行き詰まってしまう理由だと思う。

演奏に対して全員が共通して「それ間違い」とか「バッチリ合った」などと認識できないから「いまのとこはもっと○○な感じで」とか「そこでその音は使わないで」などといったやや抽象的な言葉が飛び交うことになる。ここで皆が納得して歩み寄れれば話は早いが(その為にリーダーが存在する)一人でもベクトルの違う人が「いやいや、ここはこうするべきでしょ」とか「皆、好きにやればいいじゃん」などと言って意見が対立するような場面があると一転して殺伐・険悪なムードになることは必至。

なので、コンボJazzに関して理想を言えば出てくる音の趣味や好みが自分がやりたい方向性と合わない(少なくとも許容範囲に収まらない)相手とはバンドとして一緒に演奏するべきではないし、サウンドによって演奏スタイルを無理に変えさせるのでなく演奏者そのものを変えるべきであると思う(敢えて異色の組み合わせを狙ったりする場合はまた別)。特にドラムは個人のスタイルがサウンドに与える影響がかなり強い楽器なので、「誰がやっても同じ」でないところが面白いところでもあるのだが。

要は何が言いたいかというとJazzの敷居を上げているのは「様式」じゃなくて「気構え」というか「精神性」にあるということ。他ジャンルからすると発想の転換が難しいし、この観点から見れば似て非なるJazzがあちこちに溢れている。
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by batterista | 2008-12-04 00:49 | Jazz Drumming
2008年 10月 22日

ブラシかスティックか

Jazzの場合、アレンジの制約とか何か特段の決め事や指示が無い限り、ブラシかスティックか(あるいは素手とかマレットか)という選択は基本的にドラマーに委ねられます。

コンボJazzでは事前に約束事を決めすぎてしまったり、予定調和な方向ばかりに流れてしまうと演奏する側も聞く側も刺激がなく面白味が半減してしまいます。特にドラムは音量のレンジが広く、叩く道具も自由に選択出来る(即ちいろいろな表現ができる)ので、何を使うかによってサウンドに与える影響もそれなりに大きいです。

選択の判断材料としては
・テンポ
・リズム
・編成
・メンバーのレベル
・そのときの自分の調子とか気分
といったところが挙げられますが、これらをもとにして演奏が始まった直後の数秒の間のひらめきでエイヤッと選択する感じです。

この「どっちを使うか」というのは曲の開始部分だけでなく、始まってからもずっと意識し続けなければなりません。いわゆる「持ち替え」ってヤツです。

例えばブラシからスティックに持ち替えたら途端にアドリブが終わってしまったとか(次がベースソロだと特に辛いw)、アドリブがもう終わると思って持ち替えしないでいたら長々と続いて演奏が間延びした、みたいなことも結構あります。また持ち替えで慌ててしまいテンポが速くなったとかスティックを落としたりしてバタバタになってしまったなんてこともよくあります。

自分の場合、曲の最初はどちらもすぐ手に取れる状態にしておきつつ、それ(どっちを使うか)は演奏が始まるまで決めないニュートラルな状態を意識してます。小さい音=ブラシ、大きな音=スティックというのはお約束というかセオリーですが、時には周囲の期待を裏切るのもいいですし、いっそ何もしないで1コーラスくらいは待っている、なんてのも面白いです。

持ち替える場面では、コーラスの切れ間で慌てて持ち替えるよりも、多少中途半端な場面でも落ち着いて(平静を装ってw)サウンド的に切れ目なく違和感出ないようにするのが好みですね。道具を持ち替えても周囲に気付かれない存在感の薄さ、それってまるで普段の自分と同じなワケだ、いやワケです。

ジャズの場合、ドラマー以外のプレイヤーで実はドラム好き、という人が多く、私のようなそんじょそこいらのドラマーでは太刀打ち出来ないような深い知識とかコダワリを持っていたりします。そういうプレイヤーの人はドラマー次第でモチベーションも大いに変化するので、ドラマーは心して演奏しなければなりません。ここはスティックでガンガンに、という場面でブラシを使い続けたら、後で説教を喰らう程度は覚悟しておいた方がいいでしょう。

結局のところ「どっちを選択するか」にはセオリーはあっても100%正解というのは無く、「勘」とか「センス」みたいな話になってしまうのですが、そこがまた面白くもあり難しいところでもありますね。
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by batterista | 2008-10-22 02:28 | Jazz Drumming
2008年 07月 24日

非ジャズの人がジャズ(5)

またまた間が空いて前回のつづき。

非ジャズの人がジャズをやるようになって単に手足の動きレベルではある程度のことは出来るようになってくると、次の段階は「音色」ではなかろうかと思う。

基本的にPAが叩いたときのアタックを拾いPA側でもある程度加工が出来る非ジャズなドラムと違って、生楽器且つ小さいハコで演奏することも多いジャズドラムでは楽器自体の出す音色が重要なファクターになる。生で楽器をキレイに鳴らせないと、どんなに高度なことをやっても演奏の質は落ちる。これはきっとドラム以外の楽器でも同じことが言えるはず。

で、音色というのはその人それぞれの「奏法」に起因するので、音色の違いはすなわちタッチの違い、要は「個性」とも言える。ドラマーには他の楽器と比べて楽器ヲタクな人も多く、いろいろな楽器をとっかえひっかえ使っているのをよく見かける。楽器を変えれば音の悪さを多少は誤魔化すことは出来るかもしれないが、基本的な奏法が変わらなければ本質的にキレイな音は出せない。

そして一番大事なこと、当然ながら実際に「いい音」(だと感じる音を)を聞いたことがなければ自分が出している音が良いのか悪いのかはわからない。まずは自分にとっての「いい音色」とはどんな音なのかイメージとして掴み、近づけていくことが重要だと思う。

一番手っ取り早いのは一流プロの演奏を聞くことだが、ジャズの場合「プロ」と名は付いていても「自称」「似非」な人がかなりの比率で紛れているので注意が必要である。仮にもし「誰を聞いても同じようにしか聞こえない」という人は残念ながら今はまだ「耳」が出来上がっていないということで、ここで成長が止まってしまう人も結構いる。

例えるなら、年寄り連中がモー●ング娘やジャ●ーズ系グループは全員同じ顔に見える、というのと一緒なのでCDやライブなど時間は掛かるが興味を持っていろいろな音を意識して聞いていくしかないと思う。

「違い」がわかるようになると、必然的に自分の出している音とのギャップに悩む日々がやって来るはずなので、そこからがようやく真に音色を追求する段階のはじまりである。
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by batterista | 2008-07-24 00:12 | Jazz Drumming
2008年 06月 18日

非ジャズの人がジャズ(4)

前回から大分間が開いてしまったが、今回はリズムの唄い方について続きを。

ジャズは音楽の3要素の中でも特にリズムが主体であるとよく言われる。指が早く動かなくてもお洒落なヴォイシングができなくても一音一音のリズムが良いポイントにはまれば(勿論リズムだけでは無いのは言うまでもないのだが)演奏もそれなりに良く聞こえる。

そんな音楽でリズムの中心とも言うべきドラマーのリズムが悪いとしたら、そりゃもう一大事なのは言うまでもない。

一口にリズムが良いといっても考え方は人それぞれ。自分の解釈としては体内のパルスが安定していて(別にメトロノーム的に正確である必要は無い)、そのパルスに乗せて意図したタイミングで唄えるということになるのだろうか。 周囲の音に耳は傾けつつも、それに惑わされずに自律したリズムをキープできること。

リズムを鍛えるには天才でない限りはやはり練習しかないと思う。といってリズムが良ければ演奏もスゥイング(又はグルーヴ)するかといえばそんなことは決してないのだが、少なくとも前提条件ではあると思う。

では具体的にドラマーとしてスゥイングするにはどうしたら良いか?一応自分も非ジャズなドラマーとしてこれまでに掴んできたヒントになりそうなことを挙げてみたいと思う。

一般にジャズの場合は譜面上で8分音符でもタイミング的には3連の1つめと3つめで表現される。でも本来の解釈としては3連譜でなくやはり8分音符であって、異論はあるかもしれないが、8分音符の1個目の音がテヌートで2個目がスタッカートに近いイメージなのだと思う。8分音符の解釈として一番わかりやすい例がロイヘインズで、レガートがあれだけスクエア(あまりハネてないイーブン)に叩いてもちゃんとスゥイングしていてカッコいい。

で、これがドラマーの場合、叩く「位置」ばかりに目が行ってしまいこうした「音符の長さ」まで意識していない。即ち、口や頭の中でリズムを唄う場面でも3連譜の中抜きで「タッタタッタ」というウサギのダンス風味の唄い方をしてしまっていることが往々にしてあるように思う。それを先に述べた8分音符と考えて「タータタータ」という唄い方に変えるだけでも大分ニュアンスが変わるんじゃないかと思う。これって他の楽器の唄い方でもまったく同じだと思う。

ここに音の強弱(アクセント)とか長さといったアーティキュレーションが加わるといよいよジャズドラムっぽく聞こえるようになる。
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by batterista | 2008-06-18 01:40 | Jazz Drumming
2008年 04月 24日

非ジャズの人がジャズ(3)

ここまでボリュームが云々などと書いたものの、ジャズ初心者の人が上達するには単に技術的な練習だけでなく意識や考え方も並行して変わっていかないと演奏レベルとしてある一定のラインを乗り越えるのは難しいと思う。

そのひとつがバンド内でのタイコの役割じゃないかと。
基本的にジャズと非ジャズな音楽ではバンドにおけるドラムの役割や立場がかなり違う。ロックなんかではドラムはリズムの要であって、ドラムがコケるとバンドがコケるというくらいリズム面での責任が重い。一方ジャズにおいてはドラムは必ずしもリズムキーパーではない。この点に気付けるようになるとドラマーはリズムキープの呪縛から解放され晴れて自由の身になれるのであるが、それこそが本当のジャズドラムへの道のはじまりともいえる。

リズムキープをしないというのは決して滅茶苦茶にやってよいということではなく、他のプレイヤーとズレてしまっては意味が無い。無論テンポが少々ズレたりしてもバンドを引っ張っていけるだけの演奏が出来るならそれはそれはそれで良いのだが。例えるなら今まではドラマー一人が担当だった仕事を他のプレイヤーも一緒になって分担してくれるということなので、場面によってはやはりドラマーがそれを背負わなければならないときもあるが、ドラムがいなくなったからといって演奏が止まることは無いのでそれだけでも自由度が全然違う。

ジャズ以外のドラムをやっている人にとってリズムキープを放棄するってのは(放棄ってのは正確ではないが、要は音としてのリズムを出さない状態)実は結構な恐怖感があって度胸のいることだったりする。通常ドラマー以外のメンバーは常にドラマーに対してリズムキープすることを期待しているし、実際にドラマーがコケて演奏が崩壊したような場面も何度も体験しているはずだからだ。それにドラムには音程が無い(当たり前)ので、バンドの中ではリズムを出すしか仕事が無いという一種の思い込みもある。実際エレクトリックなバンドではドラマーがどう頑張っても叩いたときのアタック音しかまともに聞こえないような環境も多く、必然的にそうなってしまうのは止むを得ないかなーとも思う。

他ジャンルの人がジャズを演るのに壁が厚いのはまずこうしたことに気付くまでに時間が掛かるのと、且つ気付いてから身体が自然に反応する状態に切替わるまでに(そこまで行かないと面白さがわかってこないと思うので)更に時間が掛かってしまうからだと思う。

ではジャズドラマーってのはいったい何の為にいるのだ、ってのはまたこんど。
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by batterista | 2008-04-24 00:49 | Jazz Drumming
2008年 04月 17日

非ジャズの人がジャズ(2)

ボリュームの件についてもう少し書いてみる。
ジャズな人だと例えばTonnyWilliams(電化後)なんかはコンボジャズとしてはおよそ非常識な24インチのバスドラムでそれはもう激しく叩きまくっていたのだがこれはちょっと例外。

何がいいたいかというとジャズの生演奏の場ではドラムは音量が一番大きく出せる楽器であるということですよ。他の楽器がどう頑張ってもこれは到底及ばないので(えっへん)。

・・・ってことは、これは使い方を間違えると大変なことになるってことです。例えば曲の展開やアドリブの盛り上がりの中でプレイヤー同士が白熱してボリュームが上がっていくことはわりと自然なことなのでそれは全然亀変としても、音楽の山谷とは全然関係の無い部分で流れを無視して(敢えて意外性を狙った場合は別にして)爆音を出したりすればそりゃもう簡単に曲を壊せちゃうってことでもありやす。一方でその爆音をイザという場面で効果的に使うことが出来れば、ドラマーがそのバンドのサウンドをコントロールしたりリスナーや共演者を驚かせたりすることも出来るということでもあるということです。

余談ながらここでの爆音はあくまで爆音であって「雑音」とは違うのである。楽器を鳴らしきって抜けた良い音色で出す音と、ただ力任せに雑に叩くのは別物で(耳に入ってくる時に全然違う)、ジャズのアマチュアドラマーで爆音を出す人は殆どが雑音の部類だと思う。意外とリズムがそこそこ叩けている人(スゥイングしているかは別にして)に限って「うるさい!」と思われていることに気付かないで無神経にドコドコドカーン!みたいな傾向が強いと思うのは自分だけではないはず。はい、そこのアナタです。

ともかく、ドラマーにとってこんな便利な表現方法を使わない手は無く、ジャズ以外でも有効であるが、特にジャズでは効果的で、このことに気付けると演奏も一気にステップアップできるんじゃないかと思う。ただ、その為にはジャズにおけるドラムの役割と非ジャズでのドラムの役割の違いを理解することと意識改革が必要で、モノにするのはそう簡単なことでは無いのだが。
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by batterista | 2008-04-17 01:49 | Jazz Drumming
2008年 04月 06日

非ジャズの人がジャズ(1)

この際自分のことは棚に上げて言うと、ロックやポップス系(=非ジャズ)の人がジャズを演奏するとテクニック的には十分あるのにどうも今ひとつスゥイングしない。でもこれはジャズに限った話ではなくジャズの人がロック演っても同じことが言えるのだけど。では何故今ひとつなのか、どうすれば脱却出来るのかを気まぐれに独断と偏見で考察してみようかと思う。

まず一番違うのがダイナミクス。普段エレクトリックな楽器と一緒に演奏していると楽器の音色やボリュームをコントロールする必要性があまり無い。そもそもセットのサイズからして違うのだけど、ドラムが音量を調節しなくても周りの楽器がボリュームを上げれば済んでしまうので、わざわざ小さな音で叩く必要も無い。ジャズでも盛り上がってくればそれなりに大きな音量で演奏することもあるけど、小さいほうがより小さい(極端に言えばタイコはいなくても良い!)ので相対的にレンジが広い。なので突然生楽器の中に入ると自分の音量の大きさにまず驚くんでなかろうか。それでも早い段階で自分の音量が適切かどうか気付いて修正を試みられる人は良いのだが、気付けない人は周囲の音やバンドサウンドを客観的に聞けていないってことなので、あまりジャズには向いてないかもしれない。

音量をコントロールして叩くのは実は意外と難しくて、コントロールしない場合よりもずっと筋力も必要だったりする。しかも手だけでなく足もコントロールしないといけないが、足は手よりもっと言うことを聞かない。因みにロックではかかとを上げてペダルを踏む(というか足を落とす)のが普通だけど、音量が出すぎたり細かいコントロールが利かないのでジャズではどちらかというとかかとを付けて踏むのが一般的。無理に小さく叩こうとか気を取られ過ぎるとストロークの速度も変わりタイミングが思ったところに行かなくなったりするし、全体的におっかなびっくりでグルーヴも出なくなるのでバランスが難しい。

演奏に合わせて音量のコントロールを利かせるようになると、メリハリもついて演奏に奥行きが出る、はず。
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by batterista | 2008-04-06 00:08 | Jazz Drumming
2007年 08月 01日

練習のススメ

Jazz(を中心に演奏する)の人というのはとかく個人でコツコツ練習するのを嫌がる人が多い。

例えばメトロノームに合わせて練習するとか、

フォームのチェックをするなどといったことは(自分の知る限り)あまりせず、

仲間とSessionさえやっていれば練習したような気になってしまっている。

無論、束縛されることなく自由に演奏出来るのがJazzの魅力でもあることは間違いないが、

もし演奏のクオリティを少しでも上げたいと思っているなら個人練習はした方が良い。

たとえ短い時間であってもそれらを積み重ねているかいないかは演奏ですぐにわかる。

一番顕著なのが音色で、奏法がしっかりしていないと叩いた音色自体が抜けないし濁る。

それにフレーズの唄い方やダイナミクスのコントロールなどにもモロ影響する。

それとリズムキープ。特に多いのが4バースなどで一人になった瞬間に暴走するパターン。

これらは一日二日やっただけではすぐに成果は出ない。継続することが重要。

楽器を長く続けたいなら尚のこと必要だと思うノダナ。
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by batterista | 2007-08-01 23:56 | Jazz Drumming
2006年 06月 11日

ジャズドラムのシンバルレガート

ジャズドラムのシンバルレガート。

知ってる人は知っている話ですが、このシンバルレガート、日本ではよく「チン・チキ」「チン・チキ」っていう2拍の括り(くくり)で表現されますが、実際には「チキ・チン」「チキ・チン」というひっくり返った形が正しい括りと言われてます。
※読みにくいので以下「◇チン◆チキ」「◆チキ◇チン」と表現します。

ジャズドラムにあまり関心の無い人からすると両者の違いは単に「◇チン◆チキ」が1拍目か3拍目スタート、「◆チキ◇チン」が2拍目か4拍目スタートというスタート地点の違いだけのように見えるでしょう。

でもこのスタート位置の違いがジャズの世界では重要です。

というのも、この「◆チキ◇チン」はずーっと同じ音量で刻んでいる訳ではなく、一連のアーティキュレーション(ボリュームや音の長さなどの音価やニュアンス)がきちんとあるからです。先頭の「チ」が一番アクセントの効いた強い音で、その後の「キ」「チン」と次第に弱くなります。

これが「◇チンチキ」だと先頭の「チン」が一番弱く、2番目「チ」が一番強くなるので、実際に叩いてみるとわかりますが「◆チキ◇チン」と「◇チン◆チキ」を比較すれば「◆チキ◇チン」で括った方が腕の動きも含めて自然で理に適っていると言えます。

それともうひとつ、この「◆チキ◇チン」の先頭「チ」は2拍目か4拍目にあたり、ちょうどハイハットを踏むポイントと重なります。

よくジャズの世界では2拍目と4拍目を強く意識せよと言われますが、ドラムの奏法からも自然と2拍目と4拍目をより強く出すような奏法・スタイルになっていることがわかります。

他の楽器の事は詳しくわかりませんがドラム以外のヴォーカルや他の楽器でも同じようにその奏法やスタイルにグルーヴが出る(スイングする)秘訣が隠されているんじゃないかと思います。

よく言われる「インチキ」「インチキ」という間違った解釈のレガートは、ドラマーがこうした背景を理解していない場合が殆どなので、グルーヴ感やスイング感が今ひとつという人は念頭に置いてCDとか聞き直したり演奏してみると良いのではないかと思います。
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by batterista | 2006-06-11 23:59 | Jazz Drumming
2006年 02月 05日

奏法のはなし

・・・たまには楽器の話、まれに聞かれるシンバルの奏法について。

音色の好みは人それぞれなので一律に良し悪しの判断は出来ませんけど、
特にシンバルを叩くときスティックを手全体で握りすぎてる人が多いなーと常々思います。

ひとつはまずシンバルを叩く時にはシンバルだけでなくスティックも鳴っているということ。

スティックって実はそれだけで意外と鳴るもので、例えばドラマーがスティックでカウント
を出す場面やクローズド(バラードなんかで使われるアレ)/オープン(打面とリムを一緒
に叩くアレ)なリムショットの音などを思い返してもらえるとわかりやすいです。

PAを通さないアコースティック主体な音楽になれば聞こえ方に影響が出るのは明らかです。

で、手全体で握ってしまうことは即ちスティックをミュートすることになり、
鳴り方や聞こえ方が変わってきます。

それから握り込むことでスティックの自然な動きが妨げられるので、
ヒットする時もバチ本体の重さでなくて腕で速度を与えることになります。

これは叩いた後のリバウンドについても同じで、
叩いて引き上げるまでの一連の動きを腕で行うことになります。

当然スティックの先(チップ)の速度は腕の動きに依存して十分な速度が出ないので、
スティックがシンバルに接する時間が長くなって音が濁ります。

といって不自然に早すぎても音が潰れます。

ここでスティックの握り面積を減らして軽く握れれば、
スティック自身の鳴りによっていわゆるピング音(叩いた瞬間の音)が抜けて芯が出ます。

また叩く瞬間のスピードとそのリバウンドが自然で且つ速度もアップするので、
スティックがシンバルに触れる時間が限りなく短くなり、鳴りも豊かでクリアになります。

そういう意味で自分の場合は叩くというよりは落とす感覚に近いです。
例えばバスケットボールをドリブルする時って、床に力いっぱい叩き付けなくても
その場で軽く押してやるだけであとはリバウンドをコントロールすれば続けられますよね。

無論、言うまでもなくこれはあくまで私の考える「綺麗な音」なので、
場面や音楽によって求められている音を叩き分けられるようになるのが理想です。

ある程度コントロール出来るようになるにはそれなりに訓練が必要ですが、
どうもシンバルの音色が今ひとつという方は一度試してみては如何でしょう。

多分、今まで以上に楽に叩けるようになるはずです。
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by batterista | 2006-02-05 03:35 | Jazz Drumming